布の大切さに共感

JAPAN INITIATIVE 構想日本のメールニュース2012/10/25に投稿したものを紹介します。



◆ 山岡 寛人 (2012.10.25)
日程の都合がつかず、第182回J.I.フォーラム・布から考える生活、アート、文化−「文化絶滅危惧種」について考える−に参加できなく、残念です。

 ささやかな体験ですが、私は、ヒツジから刈り上げたままの糞まみれの原毛を洗い、カーダーをかけ、草木染をし、紡いで糸にしたことがあります。しかし、毛糸のセーターには至りませんでした。さまざまな植物の皮をさらしたり、叩いたり、木灰で煮たりして繊維をほぐし紙を作ったことがあります。いずれも大変な時間がかかりました。

 布は糸を織ったものです。糸は繊維をよってつくります。私(現在68歳)の祖母の世代(たいてい農村に居住)の女性たちは、家庭で綿を紡いで糸を作り、それを「いざり」ばたで織って布にするということを日常的に行っていたと聞いています。大変な作業だったと思います。一着の着物にそれこそ何か月もの労働力が投下されているでしょう。だから、布は大切にされてきました。また、布は大切だからこそ、刺し子あるいは裂き織のような手芸も登場したのでしょう。

 近代的な繊維工業の中でつくられてきた布も、大量のエネルギーを使用して出来上がっています。私は、徹底的に布を使い切ろうと思っていますが、実行はなかなか難しいことです。
 フォーラムの趣旨にある「日常のもの、粗末なものほどどんどん絶滅していっています。これらのものは本当に絶滅させていいものなのでしょうか。」「今回は「布」に光を当てて、これらのことを考えたいと思います。ゲストは、「粗末な宝物」をアートにしてきた」「手仕事の掘り起こしに情熱を傾けてきた」「お二人」のお話は、きっと何か手がかりを与えてくれることでしょう。参加できなく残念です。フォーラムの盛会を祈念いたします。

 途上国への旅行あるいはお土産で、いわゆる「エスニック」ものの布類(主として木綿、麻)、衣類、布を使った手芸品・民芸品をいくつか手に入れました。その中には古布もあります。家庭で染めている藍染を無理に分けてもらったこともあります。ベトナムの民族衣装、ペルーの民芸品、ケニアの手芸品(サイザル製)、ドゴン族の泥染めの布、といったところですが。中にはブータン少数民族の織ったヤクの布製のバッグのような「珍品」(たぶん)もあります。購入したのはいずれも日本円にすれば安い物でした。日本でも、いくつか布製品を購入しています。こうしたものは私の死後には多分ゴミになってしまいますね。何とか考えておかなければと思い始めたところです。


 なお、フォーラムは10月30日に開催されます。詳細は構想日本に問い合わせてください。